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日食の全体概要

日食の全体概要

下の図は2012年5月21日に起こる金環日食の全体図です。これは日食図とよばれるもので、NASAより公開されているものを例としました。これをもとに、今回の全体概要をみていきましょう。

 

2012年5月21日の日食図
日食図の例
提供:NASA
注:日付が20日となっているのは、最大食となる時刻が世界時表記されているためです。

中国の華南からスタート

この日食は、中国の華南や海南島の一部で日の出とともに始まります。月の本影(擬本影)は日本時間7時7分頃、中国の南シナ海側沿岸部にかかるのが最初です。その後は中国南部や台湾北部をかすめながら東から東北東へ移動し、影の中心が台湾海峡を通過します。

上の日食図では月の本影が細長い楕円形で示されています。これは日の出頃ということもあり、月が地表に対して大きく傾いた形で影を落としているためです。

本影が日本へ

その後、本影の南側が尖閣諸島をかすめるように通過します。さらに沖縄本島の北側海上を通過しますが、沖縄本島にかかることはありません。日本で最初に有人の陸地へ到達するのはトカラ列島の宝島です。その後は日本列島の九州、四国、近畿、東海、関東の順に次々と通過して、太平洋へ抜けていきます。この間わずか、25分あまりの出来事です。

アリューシャンの南で最大食

日本列島を抜けた後は太平洋を大きく横切ります。北緯49度05分、東経176度17分、アリューシャン列島の南、日付変更線からそう遠くない地点で食の最大を迎えます。この時の金環帯幅は236.9Kmで、金環継続時間は5分46秒です。

アメリカへ

最大食を迎えた後も月の本影は東進を続けます。そのまま太平洋を横切ってアメリカのカリフォルニア州へ上陸しますが、メキシコ湾まで到達することなく日没を迎えて日食が終了します。月の本影(擬本影)は日本時間10時38分頃にアメリカのテキサス州で地球を離れます。

日本全域が食分0.8以上の領域

日食図を見ると、日本は全国的に食分が0.8以上の領域に入っています。このことから、今回の日食は近年稀にみる大きな日食で、しかも日本全国で楽しめることがわかります。

2012年金環日食