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月縁補正による精度向上

月縁補正による精度向上

平均月縁による計算

皆既日食の場合

日食時刻を計算する際には月を平均月縁で計算します。しかし平均月縁で計算すると、月の谷間から光が漏れて、皆既日食にならないのに皆既日食だと計算されてしまうことがあります。これを防ぐため、皆既日食の時刻を計算する場合は、月の平均月縁よりも少し小さい目に計算されます。

金環日食の場合

金環日食の場合は平均月縁や皆既日食計算で使用する月縁で計算すると、ベイリービーズ状態が金環日食と判定されます。NASAによる計算ではベイリービーズ状態を金環日食として判定しているなど、何をもって金環日食とするかという議論もあります。しかし、太陽がとぎれることなく完全な環になる時刻を計算するのであれば、平均月縁よりも少し大きめの月縁で計算する必要があります。

月の凹凸

より詳しい皆既日食や金環日食の開始時刻と終了時刻を求めようとすると、月の凹凸も考慮しておく必要があります。つまり、皆既日食時に月を少し小さめに計算しても、深い谷間があるとそこから光が漏れて、皆既日食にならないことがあるからです。これを行うのが月縁補正です。

月縁補正の例

予報値の違いの実際で出てきた例でいうと、情報源Cは月縁補正を行った結果になります。悪石島では月の深い谷間から光が漏れるので皆既終了時刻が早まります。その結果、谷間から光が漏れない諏訪之瀬島の方が、皆既継続時間が長くなるという計算結果になります。

 

このように、月縁補正をするかしないかによって皆既日食の時刻が違ってきます。月縁補正を行っていない計算結果が掲載されていることも多々ありますから、皆既日食や金環日食を観測される際には注意が必要です。

 

※つるちゃんの日食ソフトでは、皆既日食の時刻を求める際には平均月縁よりも少し小さめに計算していますが、月縁補正は行っていません。また金環日食では、ベイリービーズ状態を金環日食として計算しています。

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