日食ナビ

現在位置

デルタT、ΔT

デルタT、ΔT

地球自転のふらつき

日食の予報をする際に必ず考慮しなければならないことがあります。それは地球の自転速度が一定でなく、ふらつきがあるということです。このため、観測結果と照らし合わせてつじつまが合うよう、計算する際に地球自転速度の補正を行っているのが実態です。この補正値がデルタTで、ΔTと表記されます。

予測できない将来のうるう秒

ΔTの実際
1955年から2005年にわたるデルタTの変化

地球の自転のふらつきは単純ではありません。過去や未来にどの程度自転の速度が速くなったり遅くなったりするのか、全く予測がつきません。例えば国際原子時と世界時、協定世界時の関係が確定された1976年頃は、ほぼ毎年1秒ずつ「うるう秒」が挿入されてきました。しかし2000年以降はあまり挿入されなくなっています。右のグラフを見ても、1970年代と違って2000年以降は、グラフの傾きがゆるくなっています。このことからも、将来の値を予測するのが難しいことがわかります。

デルタTの例

過去や未来の日食計算を行う際には、ΔTの値を明らかにしておかないと計算結果が違ってきます。例えば2009年に起こった皆既日食で、悪石島における皆既開始時刻の話をしましょう。

過去と同じペースで今後も地球の自転がふらつくであろうと予測したΔT=73.0秒で計算すると、10時53分06秒に皆既が始まります。ところが2000年以降の実態を考慮したΔT=65.9秒で計算すると10時53分21秒となります。ΔTのとり方によって計算結果に15秒も違いが生じてしまいました。ΔTが大切な数値であることがおわかりいただけたでしょう。

日食の用語集