金環皆既日食
一つの日食で皆既と金環
まれに一つの日食で、ある地点では皆既日食が見られ、別の地点では金環日食が見られることがあります。これを金環皆既日食、またはハイブリッド日食とよんでいます。このサイトでは金環皆既日食としています。金環皆既日食は月の本影が地球へ到達するかしないか、ギリギリの状態の場合に起こります。
金環皆既日食が起こる理由
金環皆既日食が起こる最も大きな要因は、右図のように、観測地点と月の距離が地球の半径分だけ変化することによります。また月と地球中心との距離も常に少しずつ変化しており、これも要因の一つです。これらによって、月の本影が地球に届いたり届かなかったりするのです。
金環皆既日食は西暦2001年から西暦3000年の千年間に、全世界で57回起こります。全世界でみても17.5年に1度の割合でしか起こらないことになり、結構珍しい現象であることがわかります。
見られるのは狭いエリア
金環皆既日食では皆既帯や金環帯の幅が非常に狭いのが特徴です。したがって、金環日食や皆既日食が見られる地域はかなり限定されてしまいます。
太陽の視直径と月の視直径がほとんど同じであるため、金環皆既日食ではベイリービーズが起こりやすいと言われています。また稀にですが、全周がベイリービーズとなった太陽が見られることもあります。
稀に起こる非対称な金環皆既日食
金環皆既日食では、西から順に金環−皆既−金環のように、対称な経過をたどるのが普通です。しかし稀に金環−皆既、または皆既−金環といった非対称な経過をたどるケースがあります。
2013年11月3日の金環皆既日食の場合は、金環−皆既の順に起こります。こういった非対称となる例は、前回は1854年11月20日のことで、次回は2172年10月17日となります。このようなケースは全世界で5000年間に50回しか起こらず、100年に1度の珍しい現象といえます。