部分日食の撮影
部分日食は数年に一度の割合で起こっており、比較的シャッターチャンスに恵まれています。部分日食は日食撮影の基本です。
NDフィルターを使用
日食中とはいえ、太陽光が強烈であることに変わりはありません。たとえ食分が0.9を超えてきても同じです。カメラ側でどんなにがんばって設定を変更してみたところで、完全に露出オーバーになってしまいます。ですから日食撮影ではNDフィルターをつけて太陽光を減光する必要があります。
望遠レンズでアップに写す
望遠レンズ |
撮影者:つるちゃん |
二次利用可 |
日食撮影で最も簡単な方法は、デジタル一眼レフカメラとNDフィルターを組み合わせることです。レンズの焦点距離によって太陽像の大きさは違いますが、超広角レンズでない限り、太陽が欠けた様子程度なら簡単に写すことができます。
しかし35mm判フィルム換算で、300mmから400mm程度の望遠レンズがあると、大きくハツキリと日食中の太陽を写しだすことができます。これはデジタル一眼レフカメラで最も普及しているASP-Cサイズの場合だと、180mmから250mmに相当します。仮に望遠レンズがなくても、セット物で付属しているズームレンズを使って望遠側で写すだけでも、写り方はだいぶ違ってきます。
三脚を使う
部分日食を撮影する場合、遅いシャタースピードを使うことはあまり多くありません。とはいえ、重い望遠レンズを使って拡大撮影するとなると、やはり手ブレが心配になります。できれば三脚にしっかり固定して撮影されることをおすすめします。三脚を使うことにより、決めた構図をキッチリ固定することができますし、重いカメラを持ち続けることによる負担を減らすことができるメリットもあります。
オート撮影
フルオート |
撮影者:つるちゃん |
二次利用可 |
フルオート撮影でもOK
太陽の写し方は人それぞれですが、一番簡単なのはオート撮影です。なかでも一般の方が通常の撮影シーンで最もよく使われるのはフルオートです。日食撮影の場合でもこれで特に問題ありません。
絞り優先とシャッター速度優先
絞り優先とシャッター速度優先の設定 |
撮影者:つるちゃん |
二次利用可 |
フルオート撮影もいいけど、絞りくらいは自分で決めたいという方は、絞り優先のオート設定としてください。右の写真では「Av」のポジションに設定しています。絞り優先にすると絞り値を自分で決めることができますが、シャッター速度は自動でカメラ側が決定します。
あるいは、シャッタースピードを自分で決めたい方は、シャッター速度優先のオート設定でも結構です。写真では「Tv」のポジションに設定しています。シャッター速度優先にするとシャッター速度を自分で決めることができます。そのかわり絞り値は、カメラ側にて自動で設定されます。
スポット測光
スポット測光 |
撮影者:つるちゃん |
二次利用可 |
オート撮影する場合にぜひともお願いしたいのは、測距点を画面中央とし、測光方式を中央のスポット測光に設定変更することです。
通常は視野全体をみてピント位置や露出時間が決定されます。これを上記のような設定へ変更することにより、視野の中央部分だけをみて、ピント位置や露出時間が決定されます。つまり、カメラ側で太陽に狙いを定めてもらうことができるのです。といっても中央部に太陽がないと意味がなくなりますので注意してください。
試し撮りと露出補正
EV値を+1に変更 |
撮影者:つるちゃん |
二次利用可 |
設定が終わったら太陽を中央に持ってきて、一度試し撮りをしてみてください。露出が適切でない場合は、EV値を変えることによって露出補正を行います。EV値をプラス側にすると明るく写り、マイナス側にすると暗く写ります。
マニュアル撮影
マニュアル設定 |
撮影者:つるちゃん |
二次利用可 |
カメラの扱いに慣れた方なら、マニュアル撮影でも結構です。写真では「M」のポジションに設定しています。マニュアル撮影なら太陽に雲がかかった時などの状況変化に対し、自分の勘と経験を活かして柔軟に素早く対応することができます。
マニュアル撮影時に一番悩むのは露出時間ですが、別ページで日食での露出時間を表にまとめていますので、そちらも参考にしてください。
ライブビューを使ってピント合わせ
マニュアル |
フォーカス |
撮影者: |
つるちゃん |
二次利用可 |
実際に撮影される場合はライブビュー機能を使います。最近発売されているデジタル一眼レフカメラなら、たいていこの機能がついていますから大丈夫でしょう。これを使ってピントが正確に合っているかを確認します。もしライブビューが使えない場合は、ファインダー越しに確認してください。
オートフォーカス(AF)でピントが合わない場合は、マニュアルフォーカス(MF)に切り替えて、手動でピントを合わせます。太陽は非常に遠い距離にありますから、焦点位置を無限遠(∞、数字の8の字を横倒しにしたような記号)に合わせることでもかまいませんが、微妙にズレていることがあります。自分の目でピントを確認した方が確実でしょう。ライブビュー機能を使ったピント合わせや構図決めは、目の保護にも役立ちますからできるだけ活用しましょう。
露出を変えて何枚か写す
オート撮影でもマニュアル撮影でも共通していえることですが、写真は必ず露出時間を変えながら、何枚か写しておかれることをおすすめします。ファインダーや液晶モニタ上では十分と思っていても、後で確認すると露出アンダーであったり、露出オーバーであることがよくあるからです。カメラ側で自動的に何段階か露出を変えながら撮影してくれるオートブラケッティング機能がある場合は、これを使うのもひとつの手です。
肉眼で見ないこと
日食を見たいばかりに肉眼で直接太陽を目視するのは非常に危険です。失明の恐れもありますから、絶対に行わないようにしてください。
また、NDフィルターごしに観察するのも危険です。構図決めする程度なら問題ありませんが、長く見続けるのは目を痛めてしまう恐れがあります。