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2012年11月14日

2012年11月14日

オーストラリアで皆既日食

2012年11月14日はオーストラリアで皆既日食が見られます。皆既帯はNASAとGoogleが提供する下図のように、オーストラリア北部を通っています。しかしその後、皆既帯は大きな陸地を通ることなく、南米沖に達します。

 

オーストラリア北部を横切る皆既帯

オーストラリア東部では、ケアンズやポートダグラスといった都市が皆既帯に入ります。特にケアンズは日本から直行便が出ており、観光地としても有名な街ですから、世界中から多くの日食ファンが詰め掛けることでしょう。平均月縁で計算した場合、食の中心線上では2分9秒間、ケアンズで中心線に近いエリアでは2分7秒間、ケアンズ市街地中心部では2分間ちょうどにわたって皆既日食が見られます。

 

オーストラリア東部の皆既帯を拡大

ケアンズの日食データ

日食データは観測地点によってまちまちですが、ここではケアンズの場合を紹介します。街の中心部では下表で示したデータのように、最大食分は1.013、皆既継続時間は2分間ちょうどです。

 

ケアンズ市街地 現地時刻 P V h
日食の始まり 5時44分46秒 287.4 214.6 1.5
皆既日食の始まり 6時38分35秒 305.4 228.9 13.8
食の最大 6時39分34秒 18.0 301.4 14.0
皆既日食の終わり 6時40分35秒 90.7 14.0 14.2
日食の終わり 7時40分22秒 108.4 28.1 28.1
最大食分 1.013
皆既継続時間 2分00秒

次はスカイレールのバロンフォールズ駅付近の場合です。ケアンズ市街地よりも2秒だけ長い2分2秒の間、皆既が継続します。

 

ケアンズ中心線近く 現地時刻 P V h
日食の始まり 5時44分42秒 287.3 214.5 1.3
皆既日食の始まり 6時38分28秒 301.3 224.7 13.7
食の最大 6時39分29秒 18.5 301.9 13.9
皆既日食の終わり 6時40分30秒 94.5 17.8 14.1
日食の終わり 7時40分13秒 108.4 28.1 28.0
最大食分 1.015
皆既継続時間 2分02秒

比較的中心線に近い、ある日食ツアーでの観測地の場合は、下表のようになります。最大食分は1.018で、皆既継続時間は2分7秒となっています。

 

ケアンズ中心線近く 現地時刻 P V h
日食の始まり 5時44分30秒 287.0 214.0 1.0
皆既日食の始まり 6時38分05秒 285.7 208.9 13.2
食の最大 6時39分08秒 198.0 121.1 13.5
皆既日食の終わり 6時40分12秒 110.0 33.1 13.7
日食の終わり 7時39分43秒 108.7 28.1 27.6
最大食分 1.018
皆既継続時間 2分07秒

早朝に低い位置で見られる

2012年11月の皆既日食は早朝に低い位置で見られます。下の図はケアンズ中心街で、東の空で太陽がどの位置に見えるかを示したものです。時刻は日本時間になっていますのでご注意ください。

 

始まりの時間は、日本時間で4時45分(現地時間で5時45分、以降カッコ内同様)です。日の出は6時35分(5時35分)ですから、日の出とともに日食が始まるといっても過言ではありません。

開始の時刻が早いこともあって太陽高度は低く、ケアンズでの日食開始時点の太陽高度は、わずか1.5度しかありません。

 

食の最大は開始から55分後の5時40分(6時40分)で、太陽高度は14.0度。日食が終わる6時40分(7時40分)でも28.1度です。このように東天の低い位置で日食が起こりますから、東の方角が地平線まで開けた場所で観測する必要があります。

 

東の空の低空で日食が見られる

太陽は時間の経過とともに上方へ動きますが、北半球と違って次第に北の方(見かけ上は左の方)へズレていきます。南半球では太陽の動き方が違いますから注意しましょう。

見える星

上の星図には皆既中に見える星の位置も示されています。一番目に付くのはやはり、黒い皆既中の太陽からはるか左上方向に見える金星でしょう。太陽光が弱まった皆既中であれば、強烈に光る金星は確実に見つけることがでます。金星のすぐ右にはおとめ座の1等星スピカがあります。さらにスピカの下側には土星もあります。その他にも明るい星なら見つけることができるでしょう。現地へ行かれる方は上の星図を参考にして、星が見えるか探してみてください。

日食の経過

天頂方向を上にした場合、太陽は左上方向から欠け始めます。月は太陽の右下方向へ動いていき、食の開始から55分後に皆既となります。皆既が2分間続いた後は、その後も引き続き月は右下へ移動し、太陽の左上側から復帰します。引き続きそのまま月は右下へ移動していき、皆既終了からちょうど1時間後に日食が終了します。

 

オーストラリアのケアンズで見た日食の前半(欠け始め直前から食の最大まで)

オーストラリアのケアンズで見た日食の後半(食の最大から日食の終了直後まで)

シドニーから見た場合

シドニーから場合はどうでしょうか。下の図は最大食頃に見た太陽の様子です。シドニーはオーストラリアの南部に位置しています。このため、皆既帯の中心線から1100Kmも離れており、残念ながら皆既日食とはなりません。下図のように、やや大きく欠ける部分日食となり、左下方向が3分の2ほど欠けることがわかります。

 

シドニーではサマータイム期間となっており、日本とは+2時間の時差があります。図で示された時刻には2時間を加えてください。最大食は8時2分頃になります。

 

シドニーから見た日食。左下が3分の2くらい欠ける

ゴールドコーストから見た場合

ゴールドコーストから見た場合は、シドニーと比べて大きく欠けます。しかし皆既日食にはならず、大きな部分日食で終わってしまいます。皆既日食の中心線からの距離は600Kmほどです。ゴールドコーストの方がシドニーよりも北部に位置し、皆既帯に近いですから、その分だけ大きく欠けるというわけです。最大食の頃には83%も欠けるという、大きな部分日食が見られます。

 

ゴールドコーストはケアンズと同様、サマータイムはありません。日本との時差は+1時間ですから、下の図に出てくる時刻に1時間を加えると現地時刻になります。最大食は6時55分頃となります。

 

ゴールドコーストから見た場合。83%も欠ける

関連サイト

旅行会社の各社から皆既日食に向けたツアーが発売されています。観測を計画されている方は、下のリンクを参考にしてください。

日食一覧表
ベスト20 場所別 年代別 分布図