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2013年11月3日

2013年11月3日

珍しい金環皆既日食

2013年11月3日に珍しい金環皆既日食(ハイブリッド日食)が起こります。金環皆既日食とは、金環日食が見られる地点と、皆既日食が見られる地点の両方が存在する日食のことです。今回の場合、日食が始まった頃は本影が地球に届かず擬本影となり、金環日食が見られます。しかしその後は、地球と月の距離が縮まって本影が地表に届くようになり、皆既日食が見られます。

細い皆既帯

今回は金環皆既日食ということもあって皆既帯は細く、皆既継続時間も短くなっています。場所によっては全周がベイリービーズとなって、金環日食と区別がつかないケースも出てくるかもしれません。食の最大はリベリア沖の海上で起こり、この地点での皆既帯幅は57.5Km、食分は1.0159、皆既継続時間は1分40秒となっています。

 

擬本影と本影が通過する経路長は13600Kmで、3時間20分ほどの時間をかけて通り過ぎます。また通過する面積は、地球全体の表面積のわずか0.09%しかありません。

アフリカ中央部を通る皆既帯

この日食は皆既帯がアフリカ中央部を通ります。皆既帯はギニア湾からガボンに上陸した後、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ウガンダ、ケニア、エチオピアを通過します。最後にソマリアに入ったところで日没を迎えて終了となります。いずれの地域も平均雲量は60%以上とあまり良いものではありません。概ね東へ行くほど雲量は少なくなります。

 

いずれの地域も治安が悪いうえに伝染病も心配ですが、ガボン、ウガンダ、ケニアなどへ日食ツアーが計画されています。実際に渡航される方は、外務省の海外危険情報などで、現地の状況をよく確認してから申し込まれた方がよいでしょう。

 

アフリカ中央を横断する皆既帯

ガボンの場合

ガボンはアフリカで西側に位置することから食の最大地点に近く、今回の日食を観測する上では最も条件が良い国です。首都リーブルビルは皆既帯に入りませんで、食分は0.986止まりです。皆既帯は70Kmあまり南を通りますから、リーブルビルから移動して観測することになります。

 

ガボンを通る皆既帯を拡大した図

日食データ

日食のデータは観測地点によって異なります。ここでは某社ツアー、ガボンで観測する場合を紹介します。平均月縁で計算すると下表のようになります。継続時間は1分9秒と短くなっていますが、太陽と月の視直径差が16秒しかありませんから、しかたありません。

 

イベント 現地時刻 P V h
日食の始まり 13時15分59秒 284.8 52.2 66.5
皆既日食の始まり 14時52分40秒 273.4 18.8 45.4
食の最大 14時53分15秒 191.9 297.2 45.2
皆既日食の終わり 14時53分49秒 110.1 215.4 45.1
日食の終わり 16時15分41秒 99.5 196.6 25.7
最大食分 1.006
皆既継続時間 1分09秒

なお、皆既日食の時刻計算で通常使われる月縁を使って計算すると、皆既日食にはなりませんでした。このことから、かなり微妙な皆既日食であることがうかがえます。

 

※予報の数値は「つるちゃんの日食ソフト」に少し手を加えており、ΔT=67.1秒で計算しています。

空の中ほどで皆既に

ガボンでは昼過ぎから日食が始まります。太陽の方角は南西にあり、高度は60度を超えています。しかし食が進むにつれて、太陽の高度は一気に下がってきます。皆既が始まる頃にはちょうど空の中ほどに見えるでしょう。

皆既のころには南中直前の金星(-4.4等)が輝きます。また、太陽をはさんで左側からやや下方向にはケンタウルス座にある2個の1等星が光り、右側にはうしかい座の0等星アークトゥルスが見えるでしょう。

 

日食の開始、最大、終了となる太陽の位置

日食の経過

下の図は天頂方向を上にした場合に、太陽がどのように欠けていくかを連続表示したものです。最大食をはさんで前半と後半に分けています。

 

太陽は右下方向から欠け始めます。月はそのまま一直線に太陽の中心を目指して移動し、右下方向が欠けたまま食が進んでいきます。日食から1時間37分がたつと本影の中に入って皆既が始まり、1分あまり継続します。しかし本当に皆既になるかきわどいところです。

 

日食の前半(欠け始め直前から食の最大まで)

短い皆既が終わると黒い太陽の右下から太陽が見え始めます。そして今度は、太陽の左上方向が欠けた状態となります。そのまま月は左上方向へ移動していき、皆既終了から1時間22分後に月の半影から完全に抜けて、日食が終了します。

 

日食の後半(食の最大から日食の終了直後まで)
日食一覧表
ベスト20 場所別 年代別 分布図