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望遠鏡と太陽投影板

天体望遠鏡と太陽投影板

天体望遠鏡を使って日食観測する場合、一番安全な方法は太陽投影板に太陽像を映し出すことです。

太陽投影板とは

太陽投影板
太陽投影板 Aセットの写真
画像提供:株式会社ビクセン
製品名:太陽投影板 Aセット
二次利用不可
 
太陽投影板の使用例
太陽投影板と天体望遠鏡を組み合わせた写真
画像提供:株式会社ビクセン
製品名:太陽投影板 Aセット
二次利用不可

太陽投影板はその名のとおり、太陽像を板に投影して観察するための器具です。右に示した写真のようなもので、右側の白い色をした丸い板に太陽像を映し出します。

天体望遠鏡との組み合わせ

太陽投影板は屈折式の天体望遠鏡と組み合わせて使います。反射式やカタディオプトリック式の場合は、接眼部(ドロチューブ)の繰り出し距離が短いため、使えないことが多いようです。

 

屈折式の場合でも最初から付属しているケースは少ないですから、別に購入する必要があります。日食が近づくと、メーカから「日食観測望遠鏡セット」といったセットものが出回ることがあります。この場合はたいてい太陽投影板が付属していますから、初めて購入される方にはオススメです。

太陽投影板のメリット

太陽投影板を使っての観測は、直接のぞいた場合と比べて像がぼやけてしまいますから、太陽の微細な構造を観測するのにはあまり向いていません。しかし、大きな黒点くらいなら簡単に確認することができますし、日食の欠け方を観察する程度なら十分でしょう。

 

この方法は安全に太陽観察できるのが最大のメリットです。加えて大きな太陽像を使って多くの人が同時に観察できるというメリットもあります。近所の人を呼んで、ちょっとした日食観測会なんていうのはいかがでしょうか。

観察時の注意点

注意事項が何点かありますので紹介しておきましょう。もちろん取り扱い説明書にしたがっていただくことが前提です。

投影する太陽像の大きさ

投影する太陽像の大きさは、必ず天体望遠鏡の口径よりも大きくなるようにします。もし太陽像の大きさを口径よりも小さくすると、太陽光がその分だけ集められていることになります。つまり太陽光が強烈になりますし、熱せられて器具が破損したりヤケドを負ってしまうかもしれません。せっかく太陽投影板を使う意味がなくなりますので注意しましょう。

対物キャップ

太陽観測用の対物キャップが付属している場合は、これを対物レンズの前面に装着してください。太陽の光を必要以上に集め過ぎるのを防ぎます。

投影板を手でさわらない

太陽投影板を直接さわらないようにしてください。天体望遠鏡のレンズで集められた太陽光による熱で、ヤケドをするかもしれません。

接眼部に注意

天体望遠鏡の接眼部に手を近づけたり肉眼でのぞいたりするのは絶対にやめてください。ヤケドをしたり失明する危険があります。特に、太陽が少しだけ投影板から外れるような場合、対物レンズで集められた太陽像が望遠鏡の内側から接眼部のドロチューブに当たっている可能性があります。この光は強烈なものですから、高温になって危険です。

長時間観測しない

長い時間続けて観測しないようにしてください。少し時間がたったらいったん太陽を視野から外すか、対物レンズのキャップを完全に閉めるようにします。視野から外す場合は「接眼部に注意」のところで書いた理由から、大きく外すようにしてください。

ファインダーをのぞかない

太陽を導入する際、絶対にファインダーをのぞかないでください。口径25mmの小さなファインダーでも、肉眼の100倍以上もの集光力があります。一瞬といえども肉眼で見ようものなら、目が焦げてしまうかもしれません。

ファインダーのキャップ

太陽の導入が終わったらファインダーのキャップを閉めてください。太陽熱でレンズの接着部が溶けたり部品が変質するのを防ぎます。

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