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2013年5月10日

2013年5月10日

オーストラリアで金環日食

2013年5月10日は、オーストラリアの西部から北東部にかけて、および、パプアニューギニアの一部地域で金環日食が見られます。金環日食といえば2012年5月21日に日本で見られたのを思い出しますが、奇しくも2013年も5月に金環日食が起こります。またオーストラリアといえば、2012年11月に皆既日食が見られたのが記憶に新しいところです。半年後に再び金環日食が見られるなんて、なんともラッキーな国ですね。

 

下図のように、金環帯はオーストラリアおよびパプアニューギニアのソロモン諸島を通っています。しかしながら大半が海上ですから、観測地点はかなり限定されてしまいます。今回の金環日食での最大食地点は、赤道および日付変更線から近い太平洋上になります。この地点での最大食分は0.954、金環継続時間は6分3秒となっています。オーストラリアの西半分(左半分)の一部地域では、金環状態のまま日の出を迎えるという、珍しい現象が見られます。

 

オーストラリア北部を横切る皆既帯

今回の日食では残念なことに、主だった都市は金環帯に入りません。下の地図のように、ケアンズは金環帯に入りませんが、そう遠くない地点を通っています。前回の皆既日食同様に、ケアンズを拠点として観測に赴かれる方も多いでしょう。

 

オーストラリア東部の皆既帯を拡大

中心線付近の日食データ

日食のデータは観測地点によって異なります。ここではケアンズから比較的近いレイクフィールド国立公園近く、81号ロード・バンブー付近での日食データを紹介します。

 

イベント 現地時刻 P V h
日食の始まり 5時27分04秒 248.2 177.2 10.4
金環日食の始まり 6時44分10秒 245.5 182.9 27.3
食の最大 6時46分32秒 157.5 95.2 27.8
金環日食の終わり 6時48分53秒 68.5 6.5 28.2
日食の終わり 8時23分17秒 66.3 22.0 46.4
最大食分 0.973
金環継続時間 4分43秒

金環日食が開始となる第2接触では、上側からリングがつながります。そして最大食の頃は下の図のように、真円の太陽リングが見られます。金環終了となる第3接触では、太陽の下方向やや右側からリングが途切れ、通常の部分日食に戻ります。

 

早朝に低い位置でスタート

2013年5月の金環日食は早朝に低い位置でスタートします。下の図は、先に出てきたレイクフィールド国立公園近くから見た場合に、日食がどの位置で見えるかを示したものです。時刻は日本時間になっていますのでご注意ください。

 

図では日の出から約50分後に始まります。太陽は東北東の方角に見え、高度は10度あまりしかありません。その後、太陽は一直線に左上方向へ上がっていきます。それとともに食分が大きくなり、北東の空、高度28度あまりのところで最大食を迎えます。日食開始から1時間19分後の出来事です。金環日食は4分43秒間継続します。最大食から1時間37分後には第4接触を迎え、北東方向、空の中ほどで日食が終了します。

 

東北東から北東の空で日食が見られる

太陽は時間の経過とともに上方へ動きますが、北半球と違って次第に北の方(見かけ上は左の方)へずれていきます。南半球では太陽の動き方が北半球の場合と逆になりますから注意しましょう。

見える星

上の星図には金環中に見える星の位置も示されています。一番目に付くのはやはり、太陽から下方向やや右側に見える金星です。明るさは-3.9等ですから、肉眼でも確認できるのではないかと思います。

 

しかし金環中の太陽光は意外と強烈ですから、他の星は見えないかもしれません。どこまで確認することができるか、一度試してみられてはいかがでしょうか。

日食の経過

下の図は天頂方向を上にした場合に、太陽がどのように欠けていくかを連続表示したものです。最大食をはさんで前半と後半に分けています。

 

太陽は上方向から欠け始めます。月は太陽の下方向へ動いていき、食の開始から1時間19分後に金環日食となります。このとき太陽が作るリングは、太陽の上側からつながります。そのまま金環状態が続き、4分43秒後に太陽のリングが下側から途切れます。引き続きそのまま月は下へ移動していき、月が太陽の真下からやや右側へ抜けていって、日食が終了します。

 

日食の前半(欠け始め直前から食の最大まで)

日食の後半(食の最大から日食の終了直後まで)

ケアンズから見た場合

下の図はケアンズから最大食頃に見た太陽の欠け方です。ケアンズは金環帯から外れていますので、残念ながら金環日食にはなりません。しかし金環帯近くに位置することから、食分が0.88という大きな部分日食が見られます。太陽は金環日食の前後で見られるカチューシャのような形をしていますね。日本とは+1時間の時差がありますから、現地時間になおすには1時間を減じてください。

 

ケアンズから見た日食。右側が88%も欠ける

シドニーから見た場合

シドニーは金環帯から大きく外れています。このため下図のように、太陽の左下側が4割ほど欠け、中くらいの部分日食となります。

図における時間表記は日本時間です。シドニーとの時差は+1時間ですから、1時間を減じると現地時間になります。

 

シドニーから見た日食。左下が4割ほど欠ける

南鳥島でも

この日食はオーストラリアとパプアニューギニアが中心です。日本では縁がないのかと思いきや、南鳥島など南に位置する島だけは、小さな部分日食が見られます。南鳥島での食分は0.12ということで、太陽の右下側がわずかに欠けるでしょう。しかし残念ながら、日食目的でこの島に、一般の民間人が立ち入ることはできません。

 

日本では南鳥島だけが日食となる
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