日食ナビ

現在位置

鹿児島県
屋久島町

鹿児島県屋久島町

住所 鹿児島県熊毛郡屋久島町小瀬田469−45
緯度 北緯 30゚24'
経度 東経 130゚38'
標高 約 52m

鹿児島県屋久島町では、2012年5月21日の日食で金環日食を見ることができます。金環が始まる時間は7時18分0秒、終わる時間は7時22分30秒で、4分30秒間継続します。4分台後半の継続時間を確保でき、今回の金環日食では最高の条件です。全国的にみても恵まれた観測地といえるでしょう。

屋久島町の部分日食は6時11分5秒に始まり、太陽の右上側から欠け始めます。このときの太陽高度は9度です。屋久島町は日本の中では南西に位置しているため、他の地域よりも日食の始まりが早くなります。このため太陽高度も10度を切って、観測条件が少し悪くなります。最大食は7時20分15秒で、高度は24度です。食分は0.958で、先にも書きましたように金環日食が見られます。また終了時刻は8時40分24秒で、高度は41度です。この瞬間に太陽の左下側から月が離れてしまい、2時間29分19秒間にわたって続いた日食もこれで終了します。

 

日食の始まり 6時11分5秒 日食の終わり 8時40分24秒

欠け始め:6時11分5秒

欠け終わり:8時40分24秒

屋久島町で金環日食が始まる頃、太陽の上側が最も細くなっています。最大食の頃になると最も細くなった部分は左上側へ移動します。そして金環日食が終わる頃には、左下側が細い状態になります。時間の経過とともにリングが細くなる方向が次第に変わっていく様子を楽しんでください。金環日食の始まりと終わりには、太陽の環がとぎれとぎれになって数珠玉のように見えるベイリービーズが見られます。こちらも見逃さないようにしましょう。なお、屋久島町では最大食の頃、本州で金環日食が見られる多くの地点とは異なり、太陽リングの左上側が細くなるのが特徴です。これは、屋久島町が中心線よりも南側に位置するためです。

屋久島町における太陽リングの真円率は66.5%です。屋久島町は食の中心線から遠くないため、最大食の頃には比較的丸くて整った太陽リングが見られます。

 

金環開始 7時18分0秒 最大食 7時20分15秒 金環終了 7時22分30秒

金環始まり:7時18分0秒

最大食:7時20分15秒、食分:0.958

金環終わり:7時22分30秒

最大食となる前後は、三日月形をした太陽が欠けた方向やその欠け際、金環日食中の太陽リングの形など、太陽のようすが大きく一気に変化します。こういった変化を観察して楽しむのは、大きな日食ならではの醍醐味といえるでしょう。そこで、最大食となる前後7分間にわたって1分単位で、太陽の欠け方を図で示しました。実際にご覧になる際の参考にしていただければと思います。

画像の下には食分を示しておきました。画像が小さいため、金環日食なのに部分日食のように見えたり、部分日食なのに金環日食のように見えることがあります。食分が0.92を超える場合は、画像下に「部分食」または「金環食」のコメントを書いていますので注意してください。

 

7分前

7時13分15秒

6分前

7時14分15秒

5分前

7時15分15秒

4分前

7時16分15秒

3分前

7時17分15秒

食分 0.876 0.889 0.902 0.915 0.928 部分食

2分前

7時18分15秒

1分前

7時19分15秒

最大食

7時20分15秒

1分後

7時21分15秒

2分後

7時22分15秒

0.941 金環食 0.952 金環食 0.958 金環食 0.952 金環食 0.941 金環食

3分後

7時23分15秒

4分後

7時24分15秒

5分後

7時25分15秒

6分後

7時26分15秒

7分後

7時27分15秒

0.928 部分食 0.916 0.903 0.890 0.877

皆既日食以外の日食計算で用いられる、一般的な平均月縁を使って計算したデータです。金環日食の場合、月の高い山が太陽リングから突き出てしまって、環が完全につながらないことがあります。特に金環帯の端の地域では、次の項目で示す「大きめの月縁」を使った計算結果を用いた方がよいでしょう。

表に出てくる略号は、Pは位置角、Vは天頂角、hは太陽高度、Aは方位角(北基準、時計回り)を意味します。詳しくは、[用語集]の中にある[日食データで使われる用語]の各ページをお読みください。

 

データ 時刻 P V h A
日食の始まり 6時11分 5秒 254.8 315.9 9.5 72.1
金環日食の始まり 7時18分 0秒 272.8 337.7 23.4 79.5
食の最大 7時20分15秒 343.4 48.3 23.9 79.8
金環日食の終わり 7時22分30秒 53.7 118.7 24.4 80.0
日食の終わり 8時40分24秒 72.0 139.0 41.1 88.9
最大食分 0.958
本影中心までの距離 39Km
金環継続時間 4分30秒
太陽リング真円率 66.5%

平均月縁よりもやや大きめの月縁で独自に計算した金環日食データです。一般的な平均月縁で計算するよりも、少しきつめに時刻計算されますので、特に限界線付近の観測地では、こちらのデータを参照された方がよいでしょう。また、限界線から離れていたり、中心線に近い観測地であっても、月面の凹凸を考慮した精密な計算値に近くなり、こちらのデータを参照された方が良いケースが多くなります。

 

データ 時刻 P V h A
金環日食の始まり 7時18分 3秒 273.2 338.0 23.4 79.5
金環日食の終わり 7時22分27秒 53.4 118.4 24.4 80.0
金環継続時間 4分24秒
太陽リング真円率 66.0%

2012年5月21日の日食で、屋久島町において太陽がどのように欠けるのか、10分ごとに図で示しました。あわせて画像の下には食分も示しておきました。画像が小さいため、金環日食なのに部分日食のように見えたり、部分日食なのに金環日食のように見えることがあります。食分が0.9を超える場合は、画像下に書かれた「部分食」または「金環食」のコメントに注意してください。また、屋久島町ではどのような経過をたどるのか、20分間隔で解説を加えましたので参考にしてください。

 

  • 6時0分の食分はありません。まだ日食は始まっていません。
  • 6時20分の食分は0.13です。わずかに欠けた程度ですが、よく見ると肉眼でも太陽が欠けていることがわかるでしょう。
  • 6時40分の食分は0.42です。太陽の約4割が欠けています。日食もいよいよこの後からが本番です。
  • 7時0分の食分は0.70です。太陽視直径の7割まで欠けてきて、大きな日食であることを予感させます。
  • 7時20分の食分は0.96です。あとわずかで太陽全体が月によって覆い隠されるほどの深い日食です。日食はピークが近づいています。
  • 7時20分15秒に最大食を迎えます。食分は0.958で、屋久島町では金環日食が見られます。
  • 7時40分の食分は0.72です。最大食の頃と比べると、太陽はだいぶ太くなってきました。しかし、日食はピークを過ぎました。
  • 8時0分の食分は0.47です。およそ半分まで太陽が輝きを取り戻してきました。
  • 8時20分の食分は0.23です。太陽直径のおよそ5分の1だけが欠けた状態です。日食も終盤になりました。
  • 8時40分の食分は0.00です。太陽はほんのわずか欠けた程度です。日食も終わりまであとわずかです。
  • 9時0分の食分はありません。日食は終了しました。
  •  

6時0分 6時10分 6時20分 6時30分 6時40分 6時50分
    食分 0.132 0.277 0.420 0.560
7時0分 7時10分 7時20分 7時30分 7時40分 7時50分
0.698 0.833 0.958 金環食 0.842 0.715 0.591
8時0分 8時10分 8時20分 8時30分 8時40分 8時50分
0.469 0.349 0.232 0.117 0.004  
9時0分 9時10分 9時20分 9時30分 9時40分 9時50分
           

下の図をご覧ください。これは、日食の開始/最大食/終了の際に、太陽が見える位置を示したものです。屋久島町で日食が始まる頃、太陽は真東から北の方向へ18度の位置に見えます。高度は9度で、低い場所に見えます。障害物があると見えなくなってしまうかもしれませんので注意しましょう。最大食の頃になると、太陽は真東から北の方向へ10度の位置まで移動します。高度は24度で、比較的低い位置です。日食が終わる頃にはほぼ真東の位置にやってきます。また、高度は41度で、空の中ほどに見えます。日食観察するにはちょうどよい高さでしょう。

 

鹿児島県屋久島町で太陽が見える方向

上の星図は、最大食時にどのような星が見えるか、その概略を示したものです。しかし、空は思ったよりも明るいため、実際に見ることができる星は限られます。太陽の背景にはおうし座があり、太陽のごく近くにすばるの星たちがあるのですが、実際に見ることはできません。

ところで金星は非常に明るくて、当日の明るさは-4.3等です。そして、気になる太陽からの離角は23.4度です。金星としては太陽から離れているとは言いがたい離角ですが、最大食の頃には肉眼で確認することも可能ではないでしょうか。それから金星が見える方角は、北東から東の方向へ18度のところです。高度は7度で、かなり低い方向に見えます。地平線付近まで見渡せるような、見晴らしの良い場所から観察してください。

太陽のすぐ右上には木星があります。明るさは-2.0等ですが、太陽から5.4度しか離れておらず、さすがに肉眼で確認するのは難しいでしょう。木星のすぐ近くに-1.5等で見える水星も同様で、肉眼での観察は難しいと思われます。いずれも太陽から近い場所に見えますから、誤って太陽を直視しないように細心の注意をはらってください。

 

2012年金環日食