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金環日食が見える場所

金環日食が見える場所

金環帯

金環帯という言葉をご存知でしょうか。金環帯は金環食帯、金環日食帯などともよばれますが、これは月の本影(金環日食の場合は擬本影)が通過する通り道のことです。地図上では細長い帯のように表されます。

帯がしめす境界線のうち、北側の境界線は北限界線(または北限線)、南側の境界線は南限界線(または南限線)とよばれています。言い換えると、二つの限界線にはさまれた地域が金環帯で、金環帯の内側エリアでは、地上から金環日食を観測することができます。

2012年日食の場合

下の図は2012年5月21日の日食で、日本列島を横切る金環帯を示したものです。赤色で示された線は中心線で、月の本影の中心が通ります。地上から見ると月の中心が太陽の中心を通ることになり、真円となった太陽の環を観測することができます。

上側の青い線は北側の限界線で、この線よりも北側では金環日食になりません。同様に下側の青い線は南側の限界線で、この線よりも南側では部分日食で終わってしまいます。この二つの青い線に挟まれた領域では金環日食を観測することができます。今回はうまい具合に、本州太平洋側を沿うように金環帯が通ることがわかります。

 

日本列島を通る金環帯
金環帯の図

金環日食が見られる地域

金環帯の幅は最大食となる最も狭い地点ですら236.9Kmもあります。残念ながら金環帯の南側は海上が大半を占めますが、それでも日本の太平洋側を中心とした広い範囲で金環日食を観測できることがわかります。

金環帯を詳しくみてみましょう。西から順に鹿児島、熊本南部、宮崎、大分南部、愛媛南西部、高知、香川南部、徳島、兵庫南東部、大阪、和歌山、奈良、京都南部、滋賀南部、三重、岐阜南部、愛知、長野南部、静岡、山梨、神奈川、東京、群馬中部と南部、栃木、千葉、茨城、福島南東部の各地域で金環日食が見られます。

このように、今回の日食では東京、大阪、名古屋といった日本を代表する大都市を金環帯が通っています。このため8300万人の生活圏で金環日食が見られるという、史上稀に見る好条件の日食といえるでしょう。

中心線が通る地域

日食の中心線ですが、こちらは九州最南端の佐多岬をかすめるように、その沖あい5Km付近を通ります。日本列島で最初に中心線が横切るのは和歌山県潮岬から遠くない地点ですが、すぐに再び海上へ出てしまいます。次に中心線が上陸するのは静岡県御前崎の西です。そこから駿河湾に抜け、再び沼津付近へ上陸します。さらにそこから箱根、海老名、品川、市川、霞ヶ浦南部を通って鹿島灘へ抜けていきます。

アメリカでも

金環帯は日本を通った後はそのまま太平洋を横断し、アメリカに達します。西部のカリフォルニア州からネバタ州、ユタ州、アリゾナ州、ニューメキシコ州を経ていきます。テキサス州に入ったところで日没を迎え、金環帯はここで途絶えて終了です。

 

アメリカ西部を通る金環帯
金環帯の図(アメリカ)
2012年金環日食