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日本での全経過

日本での全経過

月が作る影の動き
本影と半影が動くようす
提供:NASA

南の地域ほど早い始まり

2012年5月21日の日食は、南の地域ほど早い時刻に始まります。先島諸島や大東諸島がまず月の半影に入り、最も早い地点では6時5分頃から部分日食が始まります。続いて沖縄本島などの南西諸島、そして九州が半影に入ります。福岡の日食開始は6時16分です。

その後日本列島は次々と半影の中に入り、広島6時17分、京都6時18分、東京6時19分と続きます。このあたりの時刻差はあまりないと言ってもよいでしょう。

しかし、北へ行くほど開始時刻は目立って遅くなります。金沢では6時20分、仙台6時24分、札幌6時33分といった具合です。最も遅い稚内では6時38分に開始し、最も早い地点で日食が始まってから33分後のことになります。そしてこの時点で、ほぼ日本全土が月の半影に覆われた格好になります。

日食の前半

日食が始まってからは、金環帯に入る地域も入らない地域も、欠け方がドンドンと大きくなっていきます。なぜなら日本全国の多くの地域で、食分が0.8を超える大きな日食になるからです。

太陽の欠け方が大きくなるにつれて周囲が少しずつ暗くなっていきます。食分が0.8を超えてくると、金星を簡単に肉眼で見つけられるようになります。また食分が0.9を超えてくると、降り注ぐ太陽光が大きく減少して空は夕方のようになり、気温も低くなってきます。

場所によって多少の違いはありますが、日食が始まって1時間から1時間16分ほど経過したところで食の最大を迎えます。

月の本影通過

月の本影(擬本影)が通過すると金環日食が見られます。人が定住する日本の陸地へ月の本影が最初に到達するのは、トカラ列島にある小宝島です。このときの時刻は7時16分で、太陽高度は22度ほどです。

日本本土で最初に本影へ入るのは鹿児島県の大隅半島です。しかし、本影の中心はまだ海上にあります。本影の中心が最初に上陸するのは和歌山県潮岬から北西へ10Km少し離れた地点です。

潮岬では7時25分から5分近くにわたって金環日食が観察できます。その後も本影の一部が日本列島にかかったまま東北東に進み、最後に本影が通過するのは福島県相馬市の茶屋ヶ岬になります。

この間わずか25分ほどで日本を駆け抜けていくことになるわけですから、月の本影が動く速度は驚異的な速さといえるでしょう。

ついに金環日食!

金環日食の連続写真
金環日食の写真
撮影者:大越治さん
撮影日:2010年1月15日
場所:モルディブ
二次利用不可

金環帯に入る地域では食の最大を迎える少し前頃、月が太陽の内側へ完全に入り込みます。金環日食の始まりです。金環日食が始まると太陽がリング状に見えて、この時だけしか味わうことのできない、太陽の不思議な姿を観察することができます。

食の最大頃には太陽の中心位置と月の中心位置が最も近づきます。金環帯の中心線上にある地点では、太陽リングが真円となります。そして再び月が太陽に内側から接すると金環日食が終了します。今回の日食では最大で約5分間にわたって金環日食を観察することができます。

東ほど大きくなる最大食分

中心線上での最大食分値を見てみましょう。最大食地点がアリューシャンの南にあることから、日本付近では東へ進むほど大きな値となります。九州では0.937、近畿は0.939、東京は0.969などとなっています。

日食の後半

最大食を過ぎると、太陽はどんどん元の姿を取り戻していきます。日本で最初に月の半影から抜けて日食が終了するのは与那国島で、8時23分過ぎです。その後はぞくぞくと半影から抜けていきます。

食の終わりは南西の地域ほど早くなっています。一番最後に半影から抜けるのは北海道の北東端にある納沙布岬から知床岬にかけてです。根室では9時26分に日食が終了します。

日食が継続する時間

この日食では南の地域ほど早く始まり、南西の地域ほど遅く終わります。日食が継続する時間としとは、北東に位置する地域ほど長くなります。例えば沖縄県の与那国島では2時間17分35秒ですが、北海道の根室では2時間50分49秒となります。

2012年金環日食