金環日食の継続時間
金環継続時間とは
金環日食の継続時間は、月が太陽の内側へ完全に入り込み、最初に内側から接する瞬間から再び内側から接する瞬間までの時間のことです。少し難しくいうと、第二接触から第三接触までの時間のことで、金環継続時間といいます。
中心線からの距離に比例しない継続時間
金環日食がどのくらい継続するかは、観察する場所が金環帯のどこに位置するかによって違ってきます。言い換えると、月の本影の中心からどのくらい近い場所に位置するかによります。
継続時間が最も長い地点は本影の中心が通る中心線上で、今回の日食では5分前後継続します。中心線から離れるほど継続時間は短くなりますが、中心線からの距離に比例して短くなるわけではありません。金環帯の端に近づくほど一気に短くなるのが特徴です。(下図参照)
継続する時間の実際
もう少し具体的にみてみましょう。この日食で関東地方での金環帯幅は中心線から両側へ140Km程度です。中心線付近の金環継続時間は5分程度ですが、金環帯幅の半分となる70Km付近では、継続時間は4分30秒弱もあり、思ったよりも長く継続することがわかります。また、継続時間が半分の2分30秒となるのは、あと20Kmで限界線にきてしまうという、中心から120Kmも離れた地点です。
ですから金環帯の端の方に位置しない限り、2、3分くらいは継続すると思っておいても大丈夫です。逆に端の方に位置していると、少しの距離を移動しただけでも継続時間が大きく違ってきますから注意が必要です。
主な地点の継続時間
主な地点の金環継続時間は下表のようになっています。中心線から4Kmほどしか離れていない東京では5分1秒も継続します。その他の地域でも、西から鹿児島4分13秒、大阪2分38秒、名古屋3分35秒、静岡4分58秒などとなっています。
・つるちゃんの日食ソフトによります。 ・平均月縁による継続時間です。 ・金環帯の端に位置するほど短くなり方が大きくなります。 |
観測地 | 金環開始 | 金環終了 | 継続時間 |
---|---|---|---|
栃木県宇都宮市 | 7時34分14秒 |
7時38分18秒 | 4分04秒 |
群馬県前橋市 | 7時33分41秒 | 7時36分57秒 | 3分16秒 |
茨城県水戸市 | 7時33分57秒 | 7時38分49秒 | 4分52秒 |
埼玉県さいたま市 | 7時32分21秒 | 7時37分15秒 | 4分54秒 |
千葉県千葉市 | 7時32分12秒 | 7時37分11秒 | 4分59秒 |
東京都東京駅付近 | 7時32分03秒 | 7時37分04秒 | 5分01秒 |
神奈川県横浜市 | 7時31分32秒 | 7時36分31秒 | 4分59秒 |
山梨県甲府市 | 7時31分22秒 | 7時35分51秒 | 4分29秒 |
静岡県静岡市 | 7時29分45秒 | 7時34分43秒 | 4分58秒 |
愛知県名古屋市 | 7時29分49秒 | 7時33分23秒 | 3分34秒 |
三重県津市 | 7時28分25秒 | 7時32分37秒 | 4分12秒 |
岐阜県岐阜市 | 7時30分52秒 | 7時33分01秒 | 2分09秒 |
滋賀県大津市 | 7時29分48秒 | 7時31分29秒 | 1分41秒 |
京都府京都市 | 7時29分56秒 | 7時31分13秒 | 1分17秒 |
奈良県奈良市 | 7時28分22秒 | 7時31分40秒 | 3分18秒 |
和歌山県和歌山市 | 7時26分59秒 | 7時30分41秒 | 3分42秒 |
大阪府大阪市 | 7時28分32秒 | 7時31分10秒 | 2分38秒 |
兵庫県神戸市 | 7時28分51秒 | 7時30分28秒 | 1分37秒 |
徳島県徳島市 | 7時26分37秒 | 7時29分49秒 | 3分12秒 |
高知県高知市 | 7時25分13秒 | 7時28分21秒 | 3分08秒 |
宮崎県宮崎市 | 7時20分49秒 | 7時25分14秒 | 4分25秒 |
鹿児島県鹿児島市 | 7時20分05秒 | 7時24分17秒 | 4分12秒 |
金環継続時間は長いほど良い?
今回の日食では、金環状態が長い所で約5分間も継続します。しかし皆既日食とは違って、継続状態が長ければいいというものでもありません。継続時間が長いということは、太陽と月の見かけの大きさの差が大きいケースが多く、それだけ太陽のリングが太くなってしまいます。
リングは細い方が美しいですし、リングが太いということはそれだけ太陽光が多く降り注ぎます。その結果、空の明るさなどの点で、普通の日食と違いが少なくなってしまうからです。