鹿児島県曽於市
曽於市のデータ
住所 | 鹿児島県曽於市末吉町二之方1980 |
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緯度 | 北緯 31゚39' |
経度 | 東経 131゚01' |
標高 | 約 171m |
日食の見え方概要
鹿児島県曽於市では、2012年5月21日の日食で金環日食を見ることができます。金環が始まる時間は7時20分13秒、終わる時間は7時24分41秒で、4分28秒間継続します。4分台前半の継続時間が確保されますから、この日食としては好条件といえるでしょう。
曽於市の部分日食は6時12分49秒に始まり、太陽の右上側から欠け始めます。このときの太陽高度は11度です。高度は少し低い目ですが、観測には支障のない範囲です。最大食は7時22分27秒で、高度は25度です。食分は0.958で、先にも書きましたように金環日食が見られます。また終了時刻は8時43分4秒で、高度は42度です。この瞬間に太陽の左下側から月が離れてしまい、2時間30分16秒間にわたって続いた日食もこれで終了します。
日食の始まり 6時12分49秒 | 日食の終わり 8時43分4秒 | |
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金環日食のようす
曽於市で金環日食が始まる頃、太陽の右上側が最も細くなっています。最大食の頃になると最も細くなった部分は右下側へ移動します。そして金環日食が終わる頃には、下側が細い状態になります。時間の経過とともにリングが細くなる方向が次第に変わっていく様子を楽しんでください。金環日食の始まりと終わりには、太陽の環がとぎれとぎれになって数珠玉のように見えるベイリービーズが見られます。こちらも見逃さないようにしましょう。
曽於市における太陽リングの真円率は64.4%です。曽於市は食の中心線から遠くないため、最大食の頃には比較的丸くて整った太陽リングが見られます。
金環開始 7時20分13秒 | 最大食 7時22分27秒 | 金環終了 7時24分41秒 |
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最大食となる前後7分間の見え方
最大食となる前後は、三日月形をした太陽が欠けた方向やその欠け際、金環日食中の太陽リングの形など、太陽のようすが大きく一気に変化します。こういった変化を観察して楽しむのは、大きな日食ならではの醍醐味といえるでしょう。そこで、最大食となる前後7分間にわたって1分単位で、太陽の欠け方を図で示しました。実際にご覧になる際の参考にしていただければと思います。
画像の下には食分を示しておきました。画像が小さいため、金環日食なのに部分日食のように見えたり、部分日食なのに金環日食のように見えることがあります。食分が0.92を超える場合は、画像下に「部分食」または「金環食」のコメントを書いていますので注意してください。
7分前 7時15分27秒 |
6分前 7時16分27秒 |
5分前 7時17分27秒 |
4分前 7時18分27秒 |
3分前 7時19分27秒 |
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食分 0.876 | 0.889 | 0.903 | 0.915 | 0.928 部分食 |
2分前 7時20分27秒 |
1分前 7時21分27秒 |
最大食 7時22分27秒 |
1分後 7時23分27秒 |
2分後 7時24分27秒 |
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0.941 金環食 | 0.952 金環食 | 0.958 金環食 | 0.952 金環食 | 0.941 金環食 |
3分後 7時25分27秒 |
4分後 7時26分27秒 |
5分後 7時27分27秒 |
6分後 7時28分27秒 |
7分後 7時29分27秒 |
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0.928 部分食 | 0.916 | 0.903 | 0.891 | 0.878 |
平均月縁による日食データ
皆既日食以外の日食計算で用いられる、一般的な平均月縁を使って計算したデータです。金環日食の場合、月の高い山が太陽リングから突き出てしまって、環が完全につながらないことがあります。特に金環帯の端の地域では、次の項目で示す「大きめの月縁」を使った計算結果を用いた方がよいでしょう。
表に出てくる略号は、Pは位置角、Vは天頂角、hは太陽高度、Aは方位角(北基準、時計回り)を意味します。詳しくは、[用語集]の中にある[日食データで使われる用語]の各ページをお読みください。
データ | 時刻 | P | V | h | A |
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日食の始まり | 6時12分49秒 | 253.6 | 313.7 | 10.5 | 72.6 |
金環日食の始まり | 7時20分13秒 | 232.6 | 296.2 | 24.4 | 80.5 |
食の最大 | 7時22分27秒 | 163.3 | 227.0 | 24.9 | 80.7 |
金環日食の終わり | 7時24分41秒 | 94.3 | 158.1 | 25.4 | 81.0 |
日食の終わり | 8時43分 4秒 | 73.4 | 138.7 | 42.0 | 90.5 |
最大食分 | 0.958 | ||||
本影中心までの距離 | 41Km | ||||
金環継続時間 | 4分28秒 | ||||
太陽リング真円率 | 64.4% |
大きめの月縁による金環日食データ
平均月縁よりもやや大きめの月縁で独自に計算した金環日食データです。一般的な平均月縁で計算するよりも、少しきつめに時刻計算されますので、特に限界線付近の観測地では、こちらのデータを参照された方がよいでしょう。また、限界線から離れていたり、中心線に近い観測地であっても、月面の凹凸を考慮した精密な計算値に近くなり、こちらのデータを参照された方が良いケースが多くなります。
データ | 時刻 | P | V | h | A |
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金環日食の始まり | 7時20分15秒 | 232.2 | 295.8 | 24.5 | 80.5 |
金環日食の終わり | 7時24分38秒 | 94.7 | 158.5 | 25.4 | 81.0 |
金環継続時間 | 4分23秒 | ||||
太陽リング真円率 | 63.8% |
日食の経過
2012年5月21日の日食で、曽於市において太陽がどのように欠けるのか、10分ごとに図で示しました。あわせて画像の下には食分も示しておきました。画像が小さいため、金環日食なのに部分日食のように見えたり、部分日食なのに金環日食のように見えることがあります。食分が0.9を超える場合は、画像下に書かれた「部分食」または「金環食」のコメントに注意してください。また、曽於市ではどのような経過をたどるのか、20分間隔で解説を加えましたので参考にしてください。
- 6時0分の食分はありません。まだ日食は始まっていません。
- 6時20分の食分は0.11です。わずかに欠けた程度ですが、よく見ると肉眼でも太陽が欠けていることがわかるでしょう。
- 6時40分の食分は0.39です。太陽の約4割が欠けています。日食もいよいよこの後からが本番です。
- 7時0分の食分は0.67です。太陽視直径の7割まで欠けてきて、大きな日食であることを予感させます。
- 7時20分の食分は0.94です。全体の9割を超えるところまで欠けてきました。これほど大きく欠ける日食は、それほど多く起こるものではありません。日食はピークが近づいています。
- 7時22分27秒に最大食を迎えます。食分は0.958で、曽於市では金環日食が見られます。
- 7時40分の食分は0.74です。最大食の頃と比べると、太陽はだいぶ太くなってきました。しかし、日食はピークを過ぎました。
- 8時0分の食分は0.50です。およそ半分まで太陽が輝きを取り戻してきました。
- 8時20分の食分は0.26です。全体の3割程度が欠けた状態です。
- 8時40分の食分は0.03です。太陽はほんのわずか欠けた程度です。日食も終わりまであとわずかです。
- 9時0分の食分はありません。日食は終了しました。
6時0分 | 6時10分 | 6時20分 | 6時30分 | 6時40分 | 6時50分 |
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食分 0.106 | 0.251 | 0.393 | 0.533 |
7時0分 | 7時10分 | 7時20分 | 7時30分 | 7時40分 | 7時50分 |
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0.670 | 0.804 | 0.935 部分食 | 0.871 | 0.744 | 0.620 |
8時0分 | 8時10分 | 8時20分 | 8時30分 | 8時40分 | 8時50分 |
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0.498 | 0.379 | 0.262 | 0.147 | 0.034 |
9時0分 | 9時10分 | 9時20分 | 9時30分 | 9時40分 | 9時50分 |
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太陽が見える位置
下の図をご覧ください。これは、日食の開始/最大食/終了の際に、太陽が見える位置を示したものです。曽於市で日食が始まる頃、太陽は真東から北の方向へ17度の位置に見えます。高度は11度で、低い場所に見えます。障害物があると見えなくなってしまうかもしれませんので注意しましょう。最大食の頃になると、太陽は真東から北の方向へ9度の位置まで移動します。高度は25度で、比較的低い位置です。日食が終わる頃にはほぼ真東の位置にやってきます。また、高度は42度で、空の中ほどに見えます。日食観察するにはちょうどよい高さでしょう。
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日食中に見える星
上の星図は、最大食時にどのような星が見えるか、その概略を示したものです。しかし、空は思ったよりも明るいため、実際に見ることができる星は限られます。太陽の背景にはおうし座があり、太陽のごく近くにすばるの星たちがあるのですが、実際に見ることはできません。
ところで金星は非常に明るくて、当日の明るさは-4.3等です。そして、気になる太陽からの離角は23.4度です。金星としては太陽から離れているとは言いがたい離角ですが、最大食の頃には肉眼で確認することも可能ではないでしょうか。それから金星が見える方角は、北東から東の方向へ19度のところです。高度は8度で、低い場所に見えます。障害物があると見えなくなってしまうかもしれませんので注意しましょう。
太陽のすぐ右上には木星があります。明るさは-2.0等ですが、太陽から5.4度しか離れておらず、さすがに肉眼で確認するのは難しいでしょう。木星のすぐ近くに-1.5等で見える水星も同様で、肉眼での観察は難しいと思われます。いずれも太陽から近い場所に見えますから、誤って太陽を直視しないように細心の注意をはらってください。